「シンプルな外構」と「安っぽい外構」の違いはどこにあるのか

「シンプルな外構にしたい」という要望を、僕はほとんどのお客様から聞く。でも実際に打ち合わせを進めていくと、「シンプル」という言葉の中身は人によってまったく違う。線を減らしただけの外構と、要素を削ってもちゃんと整って見える外構。見た目はどちらも「シンプル」だけど、仕上がりはまるで別物になる。その差がどこで生まれるのか、現場で見ている判断基準を書いておきたい。

「シンプルな外構にしてほしい」と言われたとき、具体的には何を削ればいいんですか?

削ることじゃなくて、残すものを先に決めることなんだよね。削った結果シンプルになるのと、残すものを決めた結果シンプルになるのとでは、仕上がりがまったく違ってくる。
「シンプル」は要素を削ることではない
シンプルな外構というと、門柱を小さくしたり、フェンスを低くしたり、植栽を減らしたりという「削る」方向のイメージを持たれがちだ。でも削るだけで終わると、ただ寂しい外構になる。視線が止まる場所がなくなって、そこを素通りしてしまう。シンプルに見えて、実は「安っぽい」と感じる外構は、だいたいこの削りすぎが原因だと思っている。
差が出るのは「何を残すか」の判断

現場で見てても、同じ面積・同じ予算でも「安っぽく見える家」と「ちゃんとして見える家」があるんですよ。

具体的には、どこで差がつくんですか?

まずは素材の質感です。土間を全部コンクリートの平場だけで広く取ると、どうしても倉庫の駐車場みたいに見えてしまう。土間の一部を洗い出しや乱形石に替えるだけで、同じシンプルな構成でも表情が出てきます。
素材の質感に差をつける
アプローチだけ仕上げを変えるだけでも効果は大きい。杉板模様の左官仕上げのように、職人の手間が入る仕上げは面積が小さくても存在感が出る。たった数平米でも、歩くときの足元の表情が変わると、建物全体の印象まで変わってくる。
植栽は「量」ではなく「配置」

植栽は減らした方がシンプルで手入れも楽になりますか?

本数を減らすこと自体は正解です。でも「どこに1本置くか」を間違えると、全体が寂しく見えてしまう。玄関から見て視線が止まる位置に1本置くだけで、庭全体が締まって見えるんですよ。
砂利の敷き方ひとつで庭の印象が変わるのと同じで、植栽も量ではなく「どこに置くか」で見え方がまったく変わる。削って減らすだけでは、ただ余白が増えるだけになってしまう。
高さに変化をつける

全部同じ高さでまとめると、どうしても平たくて安っぽく見えがちなんだよね。ブロックの段差や植栽の高さを少し変えるだけで、奥行きが出るんですよ。
門柱・フェンス・植栽の高さを少しだけずらすと、立体感が生まれる。全部を同じ高さ・同じ素材でまとめようとすると、整っているようで実は単調になり、それが「安っぽさ」として出てしまうことが多い。
打ち合わせで「残すもの」をどう決めるか
打ち合わせのとき、僕はまず「シンプルにしたい理由」を聞くようにしている。手入れを楽にしたいのか、価格を抑えたいのか、単に好みなのか。理由が違えば、削ってよい部分も変わってくる。手入れを楽にしたいなら植栽の本数を抑えつつ場所にこだわる、価格を抑えたいなら面積の大きい土間の仕上げを工夫する、といった具合に、優先順位が決まれば削る場所も自然と絞られていく。

みんな「シンプルにしたい」って言うけど、実は「何もしたくない」わけじゃないんだよな。むしろ逆で、ちゃんと考えたうえでスッキリさせたい人が多い気がするよ。

たしかに、打ち合わせでお話を聞いてると、こだわりがない方はほとんどいませんね。
その「ちゃんと考えたうえでのシンプル」と、「予算の都合でただ削った結果のシンプル」は、仕上がった直後は似て見えることがある。でも数年経ったときの見え方は大きく変わる。残すものを決めて作った外構は、時間が経っても狙った表情のままだが、ただ削っただけの外構は、経年でさらに寂しく見えやすい。
価格だけで比べると、なぜ味気なくなるのか
見積りを比較するとき、同じ「シンプルな外構」という言葉でも中身はまったく違う。安い方だけを選ぶと、削るだけで残すものを考えていない外構になりやすい。ここは一番注意してほしいところだ。既製品かオーダーメイドかという選択も同じで、価格の安さだけで決めると、あとから「もう少し作り込んでもらえばよかった」という後悔につながりやすい。

何年か経ってから見ても飽きない外構は、だいたい「残すものをちゃんと決めてる外構」なんだよね。
予算に限りがあるのは当然のことだ。予算帯ごとに何を優先するかを先に決めておけば、削る部分と残す部分の判断がぶれなくなる。シンプルにするかどうかの前に、「何を残したいか」を一緒に考える。それが、安っぽく見えないシンプルな外構をつくる一番の近道だと思っている。
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