流行りの杉板模様、選ぶ前に知っておきたいこと

最近、SNSや施工事例で見かける機会が増えた「杉板模様」。コンクリートやタイルの表面に、杉の板目のような木目を浮かせた仕上げです。モダンな外構でよく使われるようになり、お問い合わせでも「あの木目の土間、うちもできますか」と聞かれることが増えました。見た目の人気は本物ですが、選ぶ前に知っておいたほうがいいことがいくつかあります。
杉板模様とは、ひとつの仕上げ方の名前ではない
「杉板模様」とひとくくりに呼ばれていますが、作り方は何種類かあります。杉の板そのものを型枠に使ってコンクリートに木目を転写する方法、左官職人がコテで木目を一本一本描いていく方法、タイルや樹脂製品で木目調のパターンを再現する方法。見た目は似ていても、工程も、耐久性も、必要な職人の技量も別物です。

SNSで見た外構が木目調の土間で、すごく素敵だったんです。うちもあんな感じにできますか。

できますが、同じ「杉板模様」でも作り方が何種類かあって、どれを選ぶかで満足度がだいぶ変わってきます。まずそこから説明させてください。
職人の技量差が、そのまま見た目に出る
左官職人がコテで木目を描く仕事は、同じ図面でも職人によって表情がまったく変わります。木目の深さ、ラインの均等さ、角の始末。経験の浅い職人が手を出すと、木目が立体的に見えず、ただの「筋」が入っているだけに見えてしまうことがあります。既製品からオーダーメイドへ切り替える方に共通する考え方でも書きましたが、手仕事が入る工事ほど、誰が作るかで結果が変わります。

木目を描くコテ仕事は、何年やっても緊張します。ラインが一本歪むだけで、全体の印象が変わってしまうので。
完成直後がピークではなく、経年で表情が変わる
木目調の仕上げは、完成直後がいちばん柄がはっきりしていて、数年経つと色味が落ち着き、全体に馴染んでいきます。これは悪いことではなく、むしろ味になる部分です。一方で、木目の溝に汚れや苔が溜まりやすいという特徴もあります。北側や日陰に広く使う場合は、平らな土間より手入れの頻度が上がることを先に伝えるようにしています。

経年で柄が消えちゃうことはないんですか。

消えるというより、馴染みます。ただ溝に汚れが入りやすいので、平らな土間よりブラシをかける頻度は増えると思っておいてもらうほうがいいです。
比較するのは「単価」ではなく「どの手法か」
杉板模様は、どの手法を選ぶかで初期費用の掛かり方が大きく変わります。具体的な金額は工事条件によって変わるため、ここでは出しませんが、考え方としては、左官職人がコテで描く仕上げは型枠を使う工法より初期費用が高くなりやすい一方、仕上がりの自由度は高い。型枠を使う工法は費用を抑えやすい一方、目地の入り方や柄の繰り返しに制約が出やすい、という違いがあります。土間コンクリートの適正価格で書いたとおり、金額だけで比べると見落とす部分が出てきます。
見た目の印象は、仕上げひとつで大きく変わる
砂利の敷き方ひとつで庭の印象が変わるという話と同じで、土間の仕上げも選び方ひとつで家全体の印象が大きく変わります。杉板模様は人気のある分、近所や施工事例で同じ柄を見る機会も増えています。木目の深さや色味を少し変えるだけで、他の家とは違う表情になることも、打ち合わせで一緒に決めておくといいポイントです。
この記事のまとめ
- 「杉板模様」には複数の作り方があり、見た目は似ていても工程・耐久性・必要な技量が別物
- 左官職人がコテで描く仕上げは、職人の技量差がそのまま木目の表情に出る
- 完成直後がピークで、経年で色味が馴染んでいく。一方で溝に汚れが溜まりやすく、手入れの頻度は平らな土間より上がる
- 比較するのは単価ではなく、コテ仕事か型枠工法かという手法の違い。自由度とコストのどちらを優先するかで選ぶ
- 仕上げの選び方ひとつで、家全体の印象や近所との差が大きく変わる
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