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【業界向け】外構業で人を1人増やすとき、いくら売上が要るか

外構社長
外構社長 @gaikou_nomiss 2026年9月11日

「そろそろ人を1人増やそうと思う」。この相談は毎月のようにいただきます。そのときに私が必ず聞き返すのが、いくら売上が増える見込みですか、という質問です。人を増やす判断は、人が足りているかどうかではなく、その人の分の売上を作れるかどうかで決まります。ここが逆になっている会社は、増やした年に必ず利益が落ちます。

この記事では、外構業で1人増やすときに年間いくらの売上が要るのかを、外から検証できる数字だけを使って逆算します。自分の会社の数字を当てはめれば、その場で答えが出る形にしました。

給料の金額は、会社が払う金額ではない

まず最初に外れるのがここです。月給30万円で採ったから年間360万円あればいい、という計算をしてしまう。実際には社会保険の会社負担が別に乗ります。

社長、月給を決めれば人件費は決まりますよね。あとは賞与くらいかと思っていました。

決まりません。給料の横に会社が払う分が並びます。そこを見ないで採ると、決算のときに数字が合いません。

全国健康保険協会(協会けんぽ)大阪支部の健康保険料率は、令和8年3月分から10.13%です。介護保険料率は1.62%(40歳から64歳の方)。どちらも労使折半なので、半分は会社が払います。これに加えて厚生年金、雇用保険、労災保険の会社負担がそれぞれ別にかかります。さらに現場職なら、車、燃料、道具、作業着、保険。給料の金額だけを見て採用を判断すると、この部分がまるごと抜け落ちます。

1人を1日動かすのに、世の中はいくら見ているか

自社の給料の話から離れて、外の数字を見ておきます。国土交通省が2026年2月17日に公表した「公共工事設計労務単価」(令和8年3月適用)では、全職種の加重平均が1日25,834円になりました。職種別では普通作業員が23,605円、とび工が30,780円です。公共工事の積算に使う単価なので民間の請求額そのものではありませんが、職人1人を1日動かすのにいくらかかるかの目安としては、いちばん信用できる数字です。

下からも押し上げられています。大阪府の最低賃金は2026年10月1日から時給1,231円になります。前年は1,177円でした。現場の職人だけの話ではなく、事務、補助、手元さんの単価まで、全部この上に乗ってきます。

昔は人が足りないときに一人呼べば済んだんですけどね。いまは呼ぶほうも高いので、呼ぶか採るかで悩むようになりました。

必要な売上は、粗利率で割るだけで出る

ここからが本題です。手順は3つだけです。

  • ① その人にかかる年間のコストを出す(給料+会社負担+車と道具)
  • ② 自社の粗利率を出す(売上から材料・外注・人工を引いた額 ÷ 売上)
  • ③ ①を②で割る

例として、外の数字で置いてみます。1日25,834円の人が、年間220日現場に出るとします。220日というのは、土日を休んで、雨とお盆と正月で止まる日を引いたときの置き方です。ここは各社で違うので、自社の実績日数に置き換えてください。25,834円×220日で、1人あたり年間およそ570万円です。

これを粗利率で割ります。粗利率25%の会社なら、570万円÷0.25で約2,300万円。粗利率30%なら約1,900万円。月にならすと、160万円から190万円の売上が毎月「余分に」必要という計算になります。1件150万円の工事でいえば、毎月1件から1.3件。これが、1人増やすということの正体です。

経理から見ると、採用の稟議に必要売上が書いてあった会社はほとんどありません。書いてあれば、その時点で無理かどうか分かるんですけど。

この数字を出したうえで、いまの引き合いで毎月1件増やせるのかを考える。増やせないなら、採用ではなく引き合いを増やすほうが先です。順番を逆にすると、人が空いている状態で給料だけが出ていきます。

増やした瞬間に赤字になる会社の共通点

必要売上を満たしていても、赤字になる会社があります。共通しているのは稼働率です。現場が途切れなく続いていないと、人は増えた分だけ空きます。月に3日空くと、それだけで年間36日。上の置き方でいえば90万円以上が消えます。人を増やすと、この「空き」の金額が一気に大きくなります。

もう一つは段取りです。人数が増えると、指示を出す時間、材料を手配する時間、現場を回る時間が増えます。ここを社長が一人で抱えたままだと、増やした人の分だけ社長の手が止まります。結果として、いちばん粗利を作っていた人間が事務仕事に埋まる。外構工事は儲かるのに、なぜ手元に残らないのかで書いたのと同じ構造が、採用でも起きます。

そして、せっかく採った人が1年以内に辞めると、ここまでの計算は全部やり直しです。採用にかけた費用と教えた時間が戻ってきません。何が辞める原因になるかは職人が辞める会社と辞めない会社、現場で何が違うかにまとめました。

増やす前にやる3つ

1. 現場ごとの人工を、その日のうちに数える。誰が何日入ったかを現場に紐づけます。月末にまとめて集計すると、見積りで何人日と見ていたかとの差が分からなくなります。この差がそのまま利益の差です。私たちは自社で作ったGAIQO GENBAで日報から人工と原価を現場ごとに積み上げていますが、紙でもエクセルでも構いません。大事なのは道具ではなく、翌月まで持ち越さないことです。

2. 直近12か月の月別粗利を並べる。年間の平均ではなく、月別で並べます。外構は季節で山と谷が出ます。谷の月に人が空くかどうかが、増やしていいかどうかの答えです。平均で見ると、必ず大丈夫に見えます。

3. 増やす前に単価を直す。人にかかる金額は毎年上がっています。いまの単価のままで人数だけ増やすと、赤字の現場が増えるだけです。1人でやっている段階での数字の見方は一人親方が最初に管理すべき数字は、たった3つに書きましたが、見るところは人数が増えても変わりません。

増やすかどうかで迷っている時点では、たいてい増やさなくていいです。断る仕事が3か月続いてから決めても遅くありません。

この記事のまとめ

  • 給料の金額は会社が払う金額ではない。健康保険料率10.13%・介護保険料率1.62%(協会けんぽ大阪支部・令和8年3月分から適用)は労使折半で、厚生年金・雇用保険・労災の会社負担も別にかかる
  • 1人1日の目安は公共工事設計労務単価。全職種加重平均25,834円、普通作業員23,605円、とび工30,780円(令和8年3月適用・国土交通省2026年2月17日公表)
  • 大阪府の最低賃金は2026年10月1日から1,231円(前年1,177円)
  • 必要売上は「年間コスト ÷ 粗利率」。年間570万円・粗利25〜30%なら、年間1,900万〜2,300万円、月160万〜190万円が余分に要る
  • 必要売上を満たしても、稼働率と段取りが追いつかなければ赤字になる
  • 増やす前に、現場ごとの人工をその日のうちに数える。月別の粗利を並べる。単価を先に直す

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