外構の照明は何灯必要か。明るすぎ・暗すぎを避ける考え方

外構の打ち合わせで、いちばん後回しにされるのが照明です。門柱の色やカーポートの形は何度も話し合うのに、照明は最後の1回で「何灯にしますか」と聞かれて終わる。そして引き渡しのあとに、暗すぎて足元が見えない、あるいは眩しくて隣の家から苦情が来た、という連絡をいただきます。
灯数は感覚で決めるものではありません。何を照らすかを先に決めれば、数は自動的に決まります。この記事では、私が現場で実際にやっている決め方を書きます。
灯数は「面積」ではなく、照らす対象の数で決まる
よくある間違いが、敷地の広さから灯数を決めることです。20坪だから3灯、30坪だから5灯、という決め方をすると、広い庭の真ん中に何もないのに灯りが立っていたり、いちばん暗くて危ない階段に何もなかったりします。
私が最初にやるのは、夜に人が動く線を引くことです。門を入る、ポストを開ける、アプローチを歩く、玄関の鍵を開ける、車から荷物を下ろす、勝手口からゴミを出す。この動きのうえで、目が要る場所だけを数えます。庭の見栄えのための照明は、そのあとです。

図面には照明が2灯と書いてあるだけで、どこを照らすものなのか分かりませんでした。

それは決まっていないのと同じです。灯数だけ書いてある図面が出てきたら、この灯りは何を照らすものですかと1灯ずつ聞いてください。答えられないなら、まだ決まっていません。
明るさの目安は、実は決まっている
照明には日本産業規格(JIS)の基準があります。JIS Z 9110:2010「照明基準総則」の住宅の表では、屋外の推奨照度が場所ごとに示されています。門・玄関(外側)の全般が100ルクス、表札・新聞受け・押しボタンが75ルクス、通路が50ルクス、車庫が100ルクス、庭が20ルクス、防犯の照明が50ルクスです。
この数字をそのまま設計に使う必要はありませんが、順番として意味があります。いちばん明るくするのは門と玄関まわりと車庫で、庭はその5分の1でいい、ということです。ここが逆転している家が本当に多い。庭を煌々と照らして、鍵を開ける手元が暗い。夜に困るのは庭ではなく、玄関の手元です。

現場で夜に確認すると分かるんですけど、暗いと言われる家はだいたい灯数が足りないんじゃなくて、要るところに向いてないんですよ。
明るすぎる家に共通する3つ
1. 光源が目に入る位置にある。同じ明るさでも、電球が直接見えると眩しく感じます。眩しいと感じるとき、足元はかえって見えていません。器具を選ぶより先に、立った人の目線に光の玉が入らないかを確認します。
2. 上から下ではなく、下から上に振っている。樹木を下から照らすアップライトは絵になりますが、そのまま隣の家の2階の窓に向いていることがあります。夜に一度、自分の敷地の外から見てください。
3. 色温度がばらばら。同じ敷地に、青白い光と暖かい色の光が混ざっていると、明るさに関係なく落ち着かない見た目になります。外構の照明は色を揃えたほうがきれいです。建物側の玄関ポーチ灯の色に合わせるのが無難です。

社長、明るくしてくださいと言われたときは、灯数を足せばいいんでしょうか。

まず向きと高さを直します。それで足りないときだけ足す。足すのは最後です。
標準的な家なら、4灯から6灯に落ち着く
目安として、駐車2台・玄関アプローチあり・小さな植栽スペースありという、いちばん多い形の家で数えてみます。
- 門柱まわり(表札とポストの手元)1灯
- アプローチの足元 1〜2灯(段差や曲がりがある場所に1灯ずつ)
- 玄関ドアの手元 1灯(建物側のポーチ灯で足りることが多い)
- シンボルツリー 1灯
- 駐車場の後ろ側 1灯(荷物の積み下ろしと、夜に停めるときの目印)
これで4灯から6灯です。ここに足すとしたら、勝手口とゴミ置き場、それと道路から死角になる場所です。逆に、庭の奥や、夜にほとんど出ない場所は要りません。要らないところに付けた灯りは、電気代よりも、球が切れたときに交換に行かないという形で無駄になります。
段差のあるアプローチは、灯りの優先度がいちばん高い場所です。素材によっては濡れたときに滑ることもあるので、玄関アプローチが滑る。素材別のすべりやすさと、あとからできる対策もあわせて見ておいてください。暗さと滑りやすさは重なると危険です。
配線は、土間を打つ前にしか入らない
これがいちばん大事です。外構の照明は、灯りそのものより先に配線が要ります。配線は地面の中を通します。つまり、土間コンクリートを打ったあと、あるいはタイルや石を貼ったあとでは、もう入りません。入れようとすれば、いったん壊すことになります。

住んでみてから、必要なところに付ければいいと思っていました。

灯りは後から付けられますが、線は後から通せません。使うかどうか分からない場所でも、線だけ通して蓋をしておくのは安いです。
打ち合わせのときに決めておくのは3つです。どこに灯りを置くか、電源をどこから取るか、そして今回は付けないけれど線だけ残しておく場所はどこか。この3つ目を提案してくれる業者は多くありません。こちらから聞いてください。
土間を壊してやり直すことになると、見た目も費用も元には戻りません。土間まわりの判断は土間コンクリートのひび割れは不良工事?直すべきかの判断基準にも書きましたが、あとから触るのがいちばん高くつく場所です。
見積書に「外構照明一式」としか書かれていないときは、灯数、器具の品番、配線の長さ、トランスが入っているかを聞いてください。一式でまとめられていると、あとから「その分は入っていません」になりやすい行です。見積書の読み方は【見積書に潜む2つのワナ】金額だけで決めていませんか?にまとめています。
この記事のまとめ
- 灯数は敷地の広さではなく、夜に人が動く線の上で「目が要る場所」の数で決まる
- 明るさの順番はJISが示している。門・玄関(外側)100ルクス、表札など75ルクス、通路50ルクス、車庫100ルクス、庭20ルクス、防犯50ルクス(JIS Z 9110:2010 照明基準総則・住宅の表)
- 庭を明るくして玄関の手元が暗い家が多い。順番が逆
- 眩しい家は灯数ではなく、光源の位置と向きが原因。色温度も揃える
- 駐車2台・アプローチあり・植栽ありなら4灯から6灯に落ち着く
- 配線は土間を打つ前にしか入らない。今回付けない場所も、線だけ通して蓋をしておく
- 見積りが「外構照明一式」のときは、灯数・品番・配線・トランスの有無を聞く
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