材料のロスは、どこで出ているか。現場5つの盲点

「材料費が去年より上がっているのは分かる。でも、それだけでは説明がつかない減り方をしている」。加盟店さんの決算を一緒に見ていて、そう思うことがあります。仕入れの単価は伝票に残りますが、ロスは伝票に残りません。誰も悪いことをしているわけではないのに、気づかないうちに現場から消えていく。今日は、その消え方を5つに分けて書きます。
盲点①「多めに発注する」が当たり前になっている
フェンスの本数、コンクリートの立米数、砕石の量。図面から拾った数量に、現場担当者が経験で「少し多め」を足すのはよくあることです。問題は、その「少し」が現場ごとに違い、誰も記録していないことです。

多めに頼んでおけば、足りなくて現場が止まるよりましじゃないですか。

止まるよりはましです。ただ「多めに頼んだ分」がどこへ行ったかまで見ないと、それは判断ではなく、ただの見送りになります。多めに発注した量と、実際に使った量の差を、その現場の担当者に聞いてすぐ数字にできるか。それができない会社は、毎回同じだけ多めに頼み続けます。
盲点②余った材料が、次の現場に「消えていく」
ある現場で余った材料を、次の現場で使う。それ自体は悪いことではありません。むしろ現場の知恵です。問題は、余った材料がどの現場から出て、どの現場で使われたかを、誰も紐づけていないことです。
紐づいていないと、最初の現場は「使わなかった分」が原価から消えないまま黒字に見え、次の現場は「材料費がかからなかった」分だけ得をしたように見えます。会社全体では材料費を払っているのに、どちらの現場を見ても正しい原価が出ません。日報が続かない現場、続く現場で書いたとおり、これも「何を書かせるか」の問題です。材料の入出庫を現場ごとの日報に一行加えるだけで、行き先は追えるようになります。

余った砕石とブロックは、だいたい「次で使うやつ」として車に積みっぱなしになります。それが3現場分たまると、どれがどの現場のものか、もう本人も分からなくなります。
盲点③置き場と養生の甘さ
現場に届いた資材が、その日のうちに使われるとは限りません。雨ざらしになったセメント、踏まれて割れたタイル、風で飛んで行方不明になった軽い部材。金額としては小さくても、積み重なると無視できません。とくに現場の資材置き場が本体の作業場所から離れているほど、養生の意識は薄くなります。搬入した日に「どこに置くか」を決めておくだけで、この手のロスはかなり減ります。
盲点④「切り代」を誰も数えていない
フェンスの規格寸法は、敷地の実寸にきれいに割り切れることの方が少ないです。笠木や見切り材も同じで、必ずどこかで切ります。この切り代が、想定より多く出る現場と、ほとんど出ない現場があります。差が出るのは、材の割り付けを先に図面で決めているかどうかです。

現場で採寸しながら切っていくと、あとから「ここもう少し短くても良かった」が必ず出ます。先に紙の上で割り付けておけば、その端材はそもそも出ません。
端材そのものより、端材を出す前提で発注数量が組まれているかどうかが原価を左右します。外構工事は儲かるのに、なぜ手元に残らないのかでも書きましたが、この手の「小さな積み重ね」は月末の数字にしか出てきません。出てきたときには、もうその現場は終わっています。
盲点⑤変更が資材発注に反映されず、二重で買っている
お客様都合や現地の状況で仕様が変わることは珍しくありません。厄介なのは、設計や見積りの変更は共有されても、すでに発注していた資材の変更が忘れられることです。結果として、使わない資材が届き、必要な資材は別に発注し直す、という二重の動きが起きます。

経理から見ると、同じ現場に似た品目の請求が2回来たときが一番つらいです。変更があったのか、単なる発注ミスなのか、あとから聞かないと分かりません。

変更が決まった時点で、発注リストと突き合わせる係を一人決めておくだけで、ここはだいぶ防げます。
変更の連絡先が「現場担当者の頭の中」だけになっている会社ほど、この二重発注が起きやすいです。一人親方が最初に管理すべき数字は、たった3つで書いたとおり、規模が小さいうちから「変更は必ず紙かデータに残す」習慣をつけておくと、人が増えたときにも崩れません。
ロスは「頑張って減らす」ものではなく、「拾う仕組み」で減る
5つに共通しているのは、どれも現場の誰かの怠慢ではなく、記録が現場ごとに紐づいていないという同じ原因から起きていることです。日報や現場ごとの入出庫記録をデジタルで残す仕組みがあれば、多めに発注した量も、余って回した材料も、あとから拾い出せます。私たちが加盟店に現場管理システムの導入を勧めているのも、材料のロスを気合いで減らすのではなく、記録として残る形にしたいからです。
この記事のまとめ
- 盲点①:発注の「多め」が記録されず、毎回同じだけ多く頼み続ける
- 盲点②:余った材料の行き先が現場に紐づかず、両方の現場の原価がずれる
- 盲点③:置き場と養生が甘く、雨・破損・紛失で少しずつ減る
- 盲点④:切り代を誰も数えず、割り付けを先に決めないほど端材が増える
- 盲点⑤:仕様変更が発注に反映されず、二重発注が起きる
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