職人さんの取扱説明書。会社として職人とどう向き合うか

「職人さんって、ちょっと怖い」「何を言ったら機嫌を損ねるか分からない」。元請けさんや施主さんから、こう聞かれることがあります。実はこれ、職人さんと組んで仕事をする私たち外構会社の側でも、まったく同じことが起きています。向き合い方を知っているかどうかで、現場の仕上がりも、長く付き合えるかどうかも変わってきます。

正直、職人さんにどう接したらいいか分からなくて、腰が引けちゃうことがあります。

それは自然なことだと思う。ただ、気を使いすぎると逆にこっちが身構えて、それが現場の空気に伝わってしまう。まずは「頑固で怖い」というイメージが、今どこまで本当なのかを整理してみよう。
頑固なイメージは、まだ半分だけ正しい
長年現場に入っていると分かるのですが、昔ながらの「言われたことしかやらない」「口を出すと機嫌が悪くなる」という職人さんは、たしかにまだいます。これ自体は否定しません。ただ、ここ数年で現場に入ってもらう職人さんの顔ぶれを見ていると、こちらの相談や要望に、笑って応じてくれる人がはっきり増えました。年齢で決まる話ではなく、その人がこれまでどんな現場を渡り歩き、どんな会社と付き合ってきたかで変わる印象だと感じています。採用の場面でも、技術の話の前に「初めて組む会社と、最初にどんな会話をするか」を見るようにしています。
仕上がりが変わるのは「頼りにされている」と感じたとき
現場で何度も見てきた判断基準があります。職人さんに「この仕上げ、お願いできますか」「この判断、任せてもいいですか」と一言添えて頼ったときと、指示だけを淡々と渡したときとでは、同じ職人さんでも仕上がりの丁寧さが変わることがあります。気分の問題というより、頼られている・見てもらえていると感じられるかどうかの差だと思っています。職人が辞める会社と辞めない会社、現場で何が違うかで書いた「辞めない現場」の共通点も、結局はここに行き着きます。

褒めるとか頼るとか、口で言うのは簡単だけど、現場では忙しくてそれどころじゃないことも多い。だからこそ、意識して言葉にする場面を会社としてつくる必要がある。

具体的には、どんな場面で声をかければいいんですか?
会社としてできることは、特別なことじゃない
難しい制度を作る必要はないと思っています。現場に入ってもらった日の終わりに「今日の仕上げ、助かりました」と一言伝える。無理なお願いをしたときは、次の現場で埋め合わせをする。職人さんの提案を聞いたうえで、採用するかどうかはこちらが判断する、という姿勢を崩さない。職人の給料を上げた会社が、次にやったことでも書きましたが、金額を上げるだけでは関係は変わりません。日々のやり取りの積み重ねのほうが、結果として効いてきます。
日報や現場のやり取りを記録に残しておくと、こうした声かけのタイミングを会社としても振り返りやすくなります。感覚だけに頼らず、現場ごとに何があったかを拾える仕組みを持っておくことは、職人さんとの関係づくりでも地味に効きます。

うちは、現場終わりに一言だけでも感想を伝えるようにしてるな。大げさな褒め言葉じゃなくていい。「見てるよ」が伝わればそれで十分だ。
新しく組む職人さんとは、最初の現場で決まる
初めて組む職人さんとの関係は、最初の現場でのやり取りでだいたい決まります。こちらが一方的に図面と指示だけを渡すと、相手も指示待ちの対応に終始します。逆に、現場に入る前に「今回、何を一番気にしてほしいか」を先に伝え、現場での判断をある程度任せると、次の現場からの提案の質が変わることが多いです。これは新人の職人さんでも、経験の長い職人さんでも同じで、任せる範囲をこちらが決めつけないことが大事だと感じています。
こうした積み重ねは、すぐに数字へ出るものではありません。それでも、長く組んでくれる職人さんが増えるほど、現場ごとに一から信頼関係を作り直す手間が減り、結果として工期も仕上がりも安定します。採用や単価交渉の前に、まず向き合い方を見直す価値はあると考えています。
まとめ
職人さんへの対応に、特別な正解があるわけではありません。ただ、頑固だから近づきにくいと決めつけて距離を取るより、頼る・声をかける・任せる場面を意図的に作ったほうが、現場の仕上がりも、長く付き合える関係も作りやすいというのが、これまで見てきた実感です。

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現場の数字について
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