外構業の粗利率、いくらあれば会社が回るか

「粗利率は何パーセントあればいいですか」と聞かれることがよくあります。結論から言うと、業界平均のような一律の数字はありません。粗利率は目指す数字ではなく、自社の固定費から逆算して出す数字です。今日はその逆算の仕方と、なぜ「去年の粗利率のままでは足りない」会社が増えているかを書きます。
売上ではなく、粗利で会社を見る
売上が去年と同じなのに、なぜか手元に残るお金が減っている。この相談は年々増えています。原因のほとんどは、値段を据え置いたまま人にかかる金額だけが上がっていることです。見積りが遅い会社は、なぜ利益も薄いのかでも書きましたが、外構業で会社が苦しくなるのは仕事がないときではなく、仕事はあるのに残らないときです。

社長、うちの粗利率って高いんですか、低いんですか。何を基準にすればいいのか分かりません。

他社と比べても意味がないんです。粗利率は会社の固定費の重さで決まるので、うちにとっての正解は、他社にとっての正解とは違います。まず自分の会社の固定費を洗い出すところからです。
必要粗利率は、固定費と欲しい利益から逆算する
私が新しく独立した社長さんに伝えている計算はシンプルです。1か月にかかる固定費(給料・事務所家賃・車両・保険・リース料など、現場が動いても動かなくても出ていくお金)をすべて足します。そこに、その月に残したい利益を上乗せします。この合計額を、その月に見込む売上高で割ったものが、必要粗利率です。

固定費300万円の会社が、月に50万円残したいなら、350万円÷見込み売上高が必要粗利率になります。見込み売上が1,000万円なら35%、700万円しか見込めないなら50%必要になる、という計算です。
ここで大事なのは、必要粗利率は売上が下がるほど上がるということです。値引きで受注を増やそうとして粗利率を下げると、必要な売上高がさらに上がり、余計に数をこなさなければならなくなります。材料のロスは、どこで出ているかで書いた現場の盲点も、結局はこの必要粗利率を静かに削っている犯人です。
去年の粗利率のままでは足りない理由
固定費の中で一番動いているのが人件費です。国土交通省が2026年2月17日に公表した「公共工事設計労務単価」(令和8年3月適用)では、全職種の加重平均が1日25,834円になりました。これは公共工事の積算に使う単価ですが、職人1人を1日動かすのにいくらかかるかの目安としては、いちばん信用できる数字です。この単価は14年連続で上がっています。

単価が上がった分、固定費の人件費も毎年重くなっています。3年前に決めた粗利率のまま見積もっている会社は、知らないうちに必要粗利率との差がどんどん開いていますよ。
粗利率は一度決めたら終わりではありません。固定費が変われば、必要粗利率も変わります。少なくとも年に一度は、固定費を洗い出し直して計算をやり直す。それだけで、見積りの単価設定に迷いがなくなります。
人を増やすなら、粗利率の逆算を先にやる
人を増やせば固定費は必ず重くなります。外構業で人を1人増やすとき、いくら売上が要るかでも書きましたが、増員の判断は売上が足りるかどうかではなく、増えた固定費を賄える必要粗利率に、いまの単価設定が届いているかどうかで決めるべきです。

人を増やす前に、まず粗利率を計算し直せばいいんですね。

その順番です。売上を先に増やしてから帳尻を合わせようとすると、たいてい間に合いません。先に計算して、届いていなければ単価か仕事の選び方を変える。そこから始めます。
計算した必要粗利率に届かないときの2つの道
計算してみて、いまの単価設定では必要粗利率に届いていないと分かったら、やることは2つしかありません。単価を上げるか、固定費を軽くするかです。どちらか一方だけで解決しようとすると無理が出るので、私は両方を同時に少しずつ動かすようにしています。

単価を上げると言っても、元請けや工務店との関係もありますからね。急に上げられる現場ばかりじゃないですよ。
そのとおりです。だから単価の話は、感情ではなく資料で持っていく必要があります。値切られたときにどう返すかは、単価を上げる場面でも同じ考え方が使えます。固定費側は、遊んでいる車両や重複しているリース、使い切れていない在庫を洗い出すところから始めれば、痛みを抑えながら軽くできます。
この記事のまとめ
- 粗利率に業界一律の正解はない。自社の固定費から逆算して出す数字
- 必要粗利率=(固定費+欲しい利益)÷見込み売上高。売上が下がるほど必要粗利率は上がる
- 人件費は上がり続けている(公共工事設計労務単価、全職種加重平均25,834円・令和8年3月適用・国土交通省2026年2月17日公表)。粗利率は年に一度は計算し直す
- 人を増やす判断は、増えた固定費を賄える必要粗利率に単価設定が届いているかで決める
現場の数字について
その現場、いくら残ったか言えますか。
日報を入力するだけで、勤怠も給与も、現場ごとの原価と利益まで自動で集計。外構・エクステリアの現場に特化した現場管理システムです。
あわせて読みたい

最後まで読んでいただいてありがとうございました。今後もためになる記事を書いていきます!励みになりますのでコメントもお願いします!