乱形石貼りの「見ていて気持ちいい仕上がり」は、コツ3つで決まる

うちの近くに、乱形石を貼らせたら誰よりも上手い石屋さんがいます。同じ材料を渡しても、貼る人によって仕上がりの表情がまるで違う。これは乱形石貼りに限った話ではありませんが、乱形石貼りは特に「見る人が見ればすぐわかる」工種だと思っています。
今日は、その「見る目」の話です。乱形石貼りの良し悪しを判断するとき、現場で見ているポイントは3つに絞れます。
石が集まる場所は3差路までに抑える
乱形石を並べていくと、どうしても石の角が何本も集まる場所ができます。ここが4差路、5差路になると見た目が窮屈になり、角が欠けやすくなって長い目で見ると傷みも早い。経験のある職人は、石を置く順番と向きを先に組み立てて、角が集まる場所を3差路までに抑えながら貼り進めます。
逆に言えば、ここを見れば、その職人が行き当たりばったりで貼っているか、先の展開まで読んで貼っているかがすぐにわかります。

社長、乱形石貼りって見た目だけの話かと思ってましたけど、奥が深いんですね。

見た目だけじゃない。石が集まる場所、大小のバランス、目地の幅。この3つがズレてると、数年経ってから欠けたり浮いたりしてくる。仕上がりの良し悪しは、そのまま耐久性にもつながってる。
この3差路という基準は、感覚だけの話ではありません。石の角が4本、5本と集まるほど、そこに力が集中しやすくなり、踏まれたり凍結や乾燥で動いたりしたときに欠けや浮きが出やすくなります。見た目の窮屈さと、長持ちするかどうかは、同じ場所に表れます。
大きい石と小さい石のバランスで、単調さを消す
同じくらいの大きさの石ばかりを並べると、どうしても機械的な印象になります。大きい石の合間に小さい石を挟み、全体のリズムを崩しながら揃えるのが、見ていて飽きない仕上がりになるコツです。これは図面や寸法では指示しきれない部分で、現場で石を見ながら職人がそのつど判断しています。
目地の幅は10mmを基準に、そこだけは揃える
石の形も大きさもバラバラなのに、なぜか全体がまとまって見える乱形石貼りには、たいてい共通点があります。目地の幅です。石ひとつひとつの形は不揃いでも、目地の幅だけは10mm前後で揃えている。ここがバラつくと、不揃いな石の集合にしか見えなくなります。不揃いなものを、ひとつだけ揃える。これが乱形石貼りの考え方だと思っています。

うちは検査のときに、この3つを写真に撮って残すようにしてます。あとで「なんでここが欠けたんですか」と聞かれたときに、説明できるようにしておきたいので。
外注先を初めて使うときほど、この3つの基準は役に立ちます。過去の実績写真を見せてもらい、この3つの目でチェックするだけで、価格や見た目の印象だけでは分からなかった技量の差がはっきり見えてきます。逆に、長く付き合っている職人であっても、定期的にこの基準で振り返っておくと、慣れによる手抜きに早く気づけます。
この3つは、発注先や職人を選ぶときの判断基準にもなる
経営している立場で言うと、この3つのポイントは職人を評価するときにも、外注先を選ぶときにも、そのまま使える物差しになります。石が集まる場所が3差路までに抑えられているか。大小のバランスに意図があるか。目地が揃っているか。この3つを見る目を持っているだけで、仕上がってからでは直しようのない部分を、着工前や施工中に見抜けるようになります。
ただ、この見る目を一人の勘だけに頼っていると、担当者が変わったとたんに品質にムラが出ます。現場ごとにこの基準で仕上がりを写真と一緒に記録し、どの職人、どの外注先がどれだけ安定した品質を出せているかを積み上げていくと、次の発注判断がどんどん楽になります。
乱形石貼りに限らず、ブロック積みの目地の通し方やフェンスの柱の垂直の出し方など、仕上がりを分ける基準はどの工種にもあります。共通しているのは、どれも「言葉にすれば数行で説明できるのに、実際にできる人は限られる」という点です。基準を言葉にして共有できるかどうかが、会社としての技術の底上げにつながります。
大判タイルの施工でも、見るべきポイントは同じように整理できます(大判タイル施工の品質チェックポイント)。職人技をどう次の世代に繋ぐかはこちらの記事、工程を惜しみなく共有する理由は洗い出し仕上げの記事に書きました。
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