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何年経っても手を抜かない拘り、その理由

外構社長
外構社長 @gaikou_nomiss 2026年9月25日
職人

何年経っても手を抜かない拘り、その理由

「そこまで見なくてもいいんじゃないですか」と言われることが、正直今でもあります。お客様には気づかれない場所、写真にも写らない角度、完成してしまえば誰も触らない部分。そこを何度もやり直す私を見て、社員も最初は不思議そうな顔をします。今日はその理由を書いておきます。

社長、さっきの現場、もう一回やり直してましたよね。あそこ、お客様も気づかないところだと思うんですけど。

お客様が気づくかどうかは、実は基準にしていない。自分が納得できるかどうかだけを見てる。そこを緩めると、次も同じところで緩めるようになるから。

普通の人が気にしないところを、なぜ見るのか

この仕事を長くやっていると、お客様の目に触れない場所ほど手を抜きやすいことが分かってきます。土間の隅、フェンスの継ぎ目の裏側、ブロックの目地の通り。完成してしまえば見えなくなる場所です。でも、そこを見ないままにしておくと、数年後に必ずどこかへ跳ね返ります。目地が通っていない塀は、遠目には分からなくても近づけば揃っていないのが分かりますし、隅の納まりが甘い土間は、水が抜けずに同じ場所だけ傷んでいきます。

細かすぎると言われるのは承知の上です。それでも、普通の人なら気にも留めない部分にこだわって、自分が納得するまでやり抜く。それをやめてしまった瞬間から、うちの仕事は「そこそこの外構屋」になると思っています。

「経営」「デザイン」「施工」を全部やりたい理由

私は、経営者だから現場を見なくてもいい、とは考えていません。経営もデザインも施工も、全部で一人前のプロフェッショナルになりたいと思っています。どれか一つに寄りかかると、他の二つの判断が甘くなるからです。

経営だけを見ていると、原価を削る判断が先に立ちます。デザインだけを見ていると、施工のしやすさを後回しにした図面を描いてしまいます。施工だけを見ていると、目の前の作業に集中しすぎて、会社としてどこまで手をかけられるかの線引きを見失います。三つを同時に見るからこそ、どこまで拘ってどこで折り合いをつけるかの判断ができます。外構業の粗利率、いくらあれば会社が回るかで書いたとおり、拘りを維持するにも原価の裏付けが要ります。現場ごとの工数と原価をGAIQO GENBAで日々記録しているのも、この判断を感覚だけに頼らないためです。

具体的にどこを見ているか

抽象的な話だけでは伝わらないので、私が現場で実際に確認している場所を三つ挙げます。

一つ目は目地の通りです。ブロックやタイルの目地は、一本でも曲がっていると全体の印象が崩れます。定規を当てて確認するのは基本ですが、それ以上に、離れた場所から水平方向に見通したときに違和感がないかを必ず確認します。近くで測って合っていても、遠目で見ると波打って見えることがあるからです。

二つ目は下地の仕上げです。石貼りやタイルの下地となるモルタルやコンクリートは、仕上げ材を張ってしまえば二度と見えません。だからこそ、水勾配が正しく取れているか、空隙が残っていないかをこの段階で確認します。ここでの手抜きは、数年経ってから白華や浮きという形で必ず表に出てきます。

三つ目は養生の丁寧さです。工事中に隣接する部分をどれだけ丁寧に養生しているかは、完成後には見えません。ですが、養生が雑な現場は、仕上がりにも小さな傷やコンクリートの飛び散りが残っていることが多いです。養生を見れば、その現場全体の丁寧さが分かります。

若い頃は、そこまで見なくてもお客様は喜んでくれるんじゃないかと思ってた時期もある。でも一度緩めると、次の現場でも同じ基準で緩めるようになる。それが一番怖い。

「細かすぎる」と言われても変えない基準

細かすぎると言われても変えない基準は、シンプルです。自分が一年後にその現場を見に行って、恥ずかしくないかどうか。これだけです。お客様が気づくかどうか、クレームになるかどうかを基準にすると、際限なく基準は下がっていきます。自分自身が納得できるかを基準にすると、誰が見ていなくても同じ判断ができます。

この基準は、会社が大きくなるほど守りにくくなります。人が増えれば増えるほど、一人ひとりの現場を私が直接見て回ることはできなくなります。だからこそ、判断基準そのものを言葉にして共有することが大事だと考えています。「お客様が気づかないから」ではなく、「一年後の自分が見て恥ずかしくないか」という基準を、現場に立つ全員が持てるかどうか。ここが会社としての拘りになるかどうかの分かれ目です。日報が続かない現場、続く現場で書いたように、この基準は日々の記録に落とし込んで初めて、社内で共有できる形になります。

この拘りを次の世代にどう伝えるか

誰にも真似できない職人技、その技をどう次に繋ぐかでも書きましたが、拘りそのものは技術よりも伝えるのが難しいと感じています。目地の通し方や下地の作り方は手順として教えられますが、「そこまでやる理由」は背中を見せる以外に方法がないからです。だからこそ、私自身が現場に足を運び続けることをやめるつもりはありません。経営者になっても、デザインをしても、最後は現場で自分の目で確認する。それが、この拘りを会社の中で続けていく唯一の方法だと思っています。

まとめ

  • お客様が気づくかどうかではなく、自分が納得できるかどうかを基準にする
  • 経営・デザイン・施工のどれか一つに寄りかかると、他の判断が甘くなる
  • 現場で見ているのは目地の通り・下地の仕上げ・養生の丁寧さの三つ
  • 基準は「一年後の自分が見て恥ずかしくないか」。会社が大きくなるほどこの基準の共有が大事になる
  • 拘りは手順として教えられない。背中を見せ続けることでしか伝わらない

現場の数字について

その現場、いくら残ったか言えますか。

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