「自分にしかできない仕事」は、探すんじゃなく積み上げるもの

「他社と差別化するには、何をすればいいですか」と聞かれることがあります。正直に言うと、差別化は狙って探しに行くものではないというのが自分の実感です。外構工事で初めて大きな契約をいただいたときのことを、今でも覚えています。嬉しさより、不安の方がずっと大きかった。特別な才能があったわけではなく、誰にでもできることを、やめずに続けただけです。
差別化を「探しに行く」と、たいてい外れる

差別化するために、他社がやっていない特別なことを探した方がいいんでしょうか。今のままだと同じような会社に埋もれてしまう気がして。

うちも最初はそう思って、特別なことを探していた時期がある。でも実際にうまくいっている会社を見ていると、共通しているのは特別なことじゃない。誰にでもできる当たり前のことを、何年もやめずに続けているところだった。
見積りを早く返す、現場を毎回きれいに片付ける、連絡を後回しにしない。どれも特別な技術は要りません。でも、これを本当に何年も続けている会社は多くない。続けているうちに、お客様や元請けから「あそこなら安心して任せられる」と言われるようになる。それが結果として差別化になっていく、という順番です。先に差別化を狙うと、たいてい一時的な話題づくりで終わって長続きしません。
うちの場合も、最初から狙って作った強みはほとんどありません。目の前の現場を一つずつ丁寧にやって、クレームになりそうな芽を早めに摘んで、次の現場に活かす。それを10年以上続けた結果として、今の紹介や指名につながっている実感があります。逆に言えば、今日始めても明日には積み上がりません。だからこそ、早く始めた会社ほど有利になる分野でもあります。
積み上げているのは「同じ失敗を二度しない」という記録

若い頃は、同じ失敗を何度も繰り返してた。それを二度としないと決めてから、現場での判断が早くなった気がする。
積み上げているものの正体は、才能でも経験年数でもなく「同じ間違いを繰り返さない」という記録だと思っています。一度目の失敗は仕方がない。でも同じ間違いを二度やるのは、記録して振り返る仕組みがないからです。うちでは日報にその日の判断とつまずきを残す運用にしていますが、これも特別なことではありません。誰でもできることを、サボらずに続けているだけです。
最初の大きな契約は、自信より不安から始まった

大きい現場を任されたときほど、こっちは慎重になる。むしろ慣れてきた頃の現場の方が、油断が出やすくて危ない。
初めての大きな契約は、自信があったから取れたわけではありません。不安の方が大きかったからこそ、いつも以上に確認を重ねた。その積み重ねが、次の契約につながっていった。慣れてきた頃の現場の方がかえって危ないというのは、うちの現場責任者たちが口をそろえて言うことでもあります。積み上げは、順調なときより、不安なときの方が進むのかもしれません。
不安なときほど確認を重ねるというのは、性格の話ではなく仕組みの話だと思っています。慣れてきた頃にこそ、あえて初心者のときと同じ手順で確認する。面倒に思えても、そこを省略しない会社とする会社とで、数年後の信頼のたまり方がまったく変わってきます。
「積み上げ」を個人任せにしない
ここまでの話は、個人の心がけだけで終わらせると弱いとも思っています。積み上げた判断基準が本人の頭の中にしか残らないと、その人がいなくなった時点で会社の財産も消えてしまう。誰にも真似できない職人技を次に繋ぐ話でも書きましたが、技術も判断基準も、記録して渡せる形にしておかないと積み上がりません。うちが現場ごとの数字を毎回見える化しているのも、同じ理由です。数字で残しておけば、この現場でどれだけ利益が残ったかを、次の見積りの判断材料として積み上げられます。

感覚だけに頼ると、いい時も悪い時も「なんとなく」で終わっちゃうもんね。数字にしておくと、あとで見返した時に自分でも納得できる。
記録に残すのは、会社を管理するためだけではありません。うまくいった現場も、うまくいかなかった現場も、あとから見返せる形にしておくことで、次に同じ判断を迷わずにできるようになる。それ自体が、個人ではなく会社としての「積み上げ」です。
現場の数字について
その現場、いくら残ったか言えますか。
日報を入力するだけで、勤怠も給与も、現場ごとの原価と利益まで自動で集計。外構・エクステリアの現場に特化した現場管理システムです。
特別なことを探すより、当たり前のことをやめずに続けて、記録に残す。地味なやり方ですが、これが一番再現性のある差別化だと今も思っています。
あわせて読みたい:職人が辞める会社と辞めない会社、現場で何が違うか/職人の給料を上げた会社が、次にやったこと/材料のロスは、どこで出ているか

最後まで読んでいただいてありがとうございました。今後もためになる記事を書いていきます!励みになりますのでコメントもお願いします!