カーポートは倒れないという前提が違う
普通に考えれば、よっぽどの大災害でも無い限り、ちょっとやそっとの事ではカーポートは倒れません。
これは、私たち外構・エクステリア業者にとっても当たり前の事です。
カーポートは基本的には倒れませんし、倒れる事があってはならないのです。
しかし、街を注意深く見てみれば、カーポートが傾いている事はそれほど珍しくありませんし、大型の台風でも来ようものなら、実際に倒れたり飛んで行ってしまう事もあります。
一体なぜそんなことが起きるのでしょうか?今日はカーポートの施工基準について掘り下げていきます。
今日もやっていきますよ!
メーカー基準は守られていない
これ、一般の方からしたら恐ろしい業界の常識ですよね。
工事業者から何の説明も受けなければ、まさか自宅に建てられたカーポートがメーカー基準を守られていないなんて考えもしないのではないでしょうか。
それって悪徳業者や手抜き工事の特殊な例でしょ?なんて思うかも知れません。
ですが、事実はその逆です。メーカー基準を守って建てられたカーポートの方が圧倒的に少ないのです。
メーカー基準とは
そもそもメーカー基準の工事とはどういう事か説明していきます。
カーポートの組立自体は特に指定はありません。ちゃんと部品をつけるべき所につけ、正しく組み上がっていれば手順はさほど問題ではないのです。
メーカー基準と実工事で大きく違い、問題になるのは柱基礎サイズ。
この柱基礎サイズにはメーカーが推奨している大きさがあります。(守らなかったからといって必ずしも問題がある訳ではありません。)
このメーカー推奨基礎サイズが、ほとんどの場合守られていないのです。
メーカー基準サイズの一例
まずはメーカーの説明書を見てみましょう。
これは最もスタンダードなカーポートの一つであるLIXIL社のネスカFという商品の説明画像です。
お分かりになりますでしょうか?
基礎の大きさは奥行き700mm幅600mmです。(ちなみに各メーカー基準の中でも最小サイズです)
つまりカーポートの柱の下には、最低でも70cm×60cmの基礎が埋まっている事になります。
ここまでわかった所で、一度街に出て近隣に建っているカーポートの柱基礎部分を見てみて下さい。
コンクリート打設前にカーポートが建てられている場合は目視では分かりませんが、後付けで建てられたカーポートであれば基礎サイズが分かるはずです。
どうでしょう?70cm×60cmも無かったのではないでしょうか?良くて30cm×30cmぐらいではないかと思います。
なぜメーカー基準を守らないのか
1番大きな理由は金額にあります。
大きな穴を掘るためには単純にお金が掛かります。人件費・既存コンクリートはつり費用・残土処分運搬費。更にそれだけ大きな基礎を作るためのコンクリートも穴が大きい分だけ量が必要になってきます。
30cm角(これでも大きい方です。実際には20cm角で建てられているカーポートも少なくないですよ。)で2箇所掘られたカーポートの基礎サイズは奥行き0.3×幅0.3×深さ0.55×2箇所=0.099
対してメーカー基準の場合、奥行き0.7×幅0.6×深さ0.55×2箇所=0.462
約4.7倍も変わってきます。20cm角ならなんと10.5倍です。
では工事費は基礎の大きさが変わったらどうなるでしょう。
平均的なカーポート施工費は36,000円~40,000円といった所。それに残土処分、はつり工事が10,000円程足されて46000円~50,000円。ここらへんが相場です。
もちろん実際の工事は単純に穴の大きさに比例して変わるわけではありません。それでも基礎の大きさは工事価格を大きく左右します。
少なく見積もって3倍。つまりカーポートをメーカー基準で建てる場合の施工費は46,000円の3倍138,000円位は必要になるのです。
インターネットで見るカーポートの相場
今の時代便利なもので、インターネットで商品名を検索すればすぐに最安値や相場を調べることができますね。
試しにLIXIL ネスカFで検索してみました。
2020年11月現在、14万円前後が最安相場といったところです。これは工事費込みの値段です。
この値段の時点で、メーカー基準サイズでの基礎工事が行われないのは分かりますよね。
メーカー基準工事であれば、工事費だけで約14万円ですから。
ですが現実としてこの事実を知らなければ、地元の工務店がネスカFの商品・設置工事で25万円で見積もりを提出してきた時、高いと感じるはずです。
安いは安いなりの、高いには高いなりの理由があることをきちんと知っておきましょう。
まとめ
- 低価格で建てられるカーポートは基礎が小さいから
- 基礎が小さい=違法という訳ではない
- ただ基礎が小さければ確実に強度は落ちる
カーポート工事を依頼する際に考慮すべきは値段だけではありません。
きちんと基礎サイズについて説明してくれる業者かどうか確認するようにしましょう。
最後まで見ていただいてありがとうございました。
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